4月21日(土)22日の(日)の二日間、新宿のシアターアプルにて「National Tap Day 2001」(以下NTD)が行われた。今年も補助席が出る程の大変な人気で大成功に終わったNTD。タップという芸術にさらに磨きをかけた彼等、そして彼女達の作品は、1部で14作品、2部で14作品の計28作品。特別ゲストで友情出演のロバート・リード氏、全員参加のフィナーレを含め2時間半の舞台は、とにかく熱気溢れるものだった。
今年は昨年と比べ、よりプロ志向、そしてエンターテイメント性に重視した展開で観客を十分に楽しませてくれた。映像でスタートを切った今回のステージは、まず各スタジオ、タッパーら出演者のリハーサル風景をビデオで紹介。ビートのきいた曲に真剣な表情の出演者達が映される。
「これからどんな舞台が待っているのか」期待に胸が弾む。
ビデオに続き、佐々木隆子タップダンススタジオによる「Sensations」、「TheGlove」、SACHI'S T.D.T の作品「どろかん」に続く4曲めにみすみ“Smilie”ゆきこ(以下、Smilie)が登場。リズミカルな男性のサンバ・スキャットに合わせ、リズムを刻む。
タイトルは「When I Feel Samba」。レインボー・カラーの衣装が舞台に生えて美しい。
SmilieはSambaになるとどうも血が騒ぐらしい。パンフレット内のコメントによると、「血が騒ぐSamba!」と確かにある。となると、「舞台を目一杯使い、激しく踊りまくるのでは?」と想像しがちだが、実際は観ていてとても「心地よい」のだ。
それは彼女のリズム・タップが私達にそう感じさせるのである。
内から湧き出るビートが、自然と一体化しているようで私達の体内に響いてくる。そしてそこに加わるテルトーンの金属音が緊張感を生み出し、私達は彼女の世界“みすみWorld”に引込まれていくのである。

この曲をNTDの舞台に選ばれた理由は何ですか?
選んだと言うよりも、初めて聞いたときに、もう躍りだしてしまった、ただそれだけです。

深みと切れのある男性の声が、まさにタップ!ですね。
あの口まねサンバは、まるでパーカッションです!

曲名とアーティスト名を教えてください。
ルシアーノ・ペローニの「SAMBA VOCALIZADO」です。

振付けで意識的に気をつけていることはありますか?
曲に躍らされるままに、ただ感じたままに躍っただけです。

今回初の試みとして、幕間に「夢の共演」が登場。このNTDの、しかも幕間だけでしか観る事のできない出演者の「もうひとつの顔」と「NTDの舞台でしか実現しない共演」に会場も沸いた。
SmilieとTokyo Rhythm Boysの穴田英明氏による「奥様は魔女」では、Smilieのミニスカートにびっくり!美しい脚線美を惜し気も無く出し、会場の男性を悩殺(?)。
向井好一先生とTokyo Rhythm Boysの松本晋一氏によるタキシード姿にステッキのタップ(Cane Twirling)では思わぬ展開に爆笑。華麗なるステッキさばきを期待するや「よいしょ」という声が聞こえてきたり、松本氏がステッキを落としそうになるなど、楽しい幕間が観客にとってよい休憩ともなった。(なんと21日には向井先生が、22日5pmの部にはご両人がステッキを落としてしまうハプニングも!しかし、その場を芝居仕立てにアレンジ。
ご両人の気の利いたこの「Improvisization」によって会場、そしてバックステージは大いに盛り上がった。もしかすると最初から「計画通り」?だったのかもしれない。)また、セビアン・グラバーを彷佛させる渡辺かずみ氏によるシアター・タップでは、彼の持つストイックさはどこへやら、そのコミカルな表情に親しみを覚え(再演を希望!)、近藤千恵先生。穴田英明先生、冨田かおる先生。天野俊哉先生、大高純子先生。押田勝年先生によるクラシカル・タップは、アステア/ジンジャー・ペアの様な華麗な舞いを披露。また、今西康之先生と白井博之先生は、懐かしき運動会を思い出す二人三脚タップ。意外な発想にちょっとびっくりしながらも「なるほど、すべてはリズムで作られている、ネ」と妙にひとりで納得してしまう場面もあり、楽しさ一杯の幕間となった。そして中川裕季子先生と藤川誠先生のデュエットは、クラシカル・タップで会場を魅了。ファンキーでソウルフル、アカペラで極める藤川先生がタキシードに身を包み、華やかに舞う中川先生とペアを組む姿も、まさしく「夢の共演」そのものだった。
ハロー、サマンサ!(笑)穴田先生とのペアはいかがでしたか?
楽しかったです!
私は後ろから2列めに座っていたので、ちょっと見えにくいところがあったので質問させて下さい。サマンサが魔法を解く前には、ダーリンはどういう状態だったのですか?
ダーリンが魔法で現れたら、ひげ爺さんだったのです。そして、2度めの魔法で、ステキでハンサムなダ〜リンになったのです。
この企画はどなたの案ですか?
曲と「奥様は魔女」のテーマは演出の松本さんからもらいました。
でも、あくまでも提案であり、内容は自由、曲も変更可能だったのです。
スローと早い曲の2曲を頂き、穴田さんと私は共に早いほうを選択。
きれいなクラシカルタップは、中川先生チームや、冨田さんなどのペアダンスで見れるので、コミカルに行こうとすぐ決定!
曲の中の魔法の音にヒントを得て、ストーリー性を重視し、穴田さんと2人で考えました。
ミニスカートに金髪のカツラの衣装では、普段と違った自分が出るのですか?(ノッテましたね!)
(爆笑)自分でやるって決めたものの、最初は照れくさくて、特にリハでは、最後まで隠れていました。(笑)
でも、舞台化粧したら、別人になれた。だんだんのってきましたね。
コスプレにはまるのでは?っと周囲は心配したみたい。(笑)
来年、また「夢の共演」があるとすれば、どなたとペアを組んでみたいですか?
また、何をやりたい?

「奥様は魔女 第二段」をやって欲しいな〜。次回はもっと登場人物を増やして。
サマンサの両親、あとダーリンが勤める銀行の頭取やお隣さんとか!配役もはまりそうじゃない?考えてみて〜。
(爆笑)まっちゃんに提案してみまーす。
第二部では、「CUTE」という曲でジャズ・タップを踊ったSmilie。
第一部のサンバとは雰囲気が一転。ヘアスタイルもアップにし、光沢のあるブラウン系の衣装でシックにきめた。
プログラムには橋本 祥先生とのデュエットとありましたが、実際にはお一人でした。
初日のゲネプロで、怪我をされて、開演30前に病院に行くことに決めたので、初日は急遽ソロになりました。病院に言った結果、肉離れとのことで、2日目も断念されたのです。本当に人ごとではなく、胸が締め付けられる思いでした。彼女が、舞台袖から観てた昼の部は、感無量・・、終わって袖に戻ると、彼女が目に涙を一杯ためて、「みすみさん、よかったー。一緒に躍りたかったー。」って抱き合って泣きました。
祥さんとの「CUTE」、観たかったです。どのような感じになる予定だったのでしょうか?
掛け合いをしたりというのがありました。そして、彼女は元気!って感じの人なので、そんな感じだったかな。会話をするように躍ってました。
ソロになったので、気分を変えて、2日目は衣装も変え、しっとりと大人っぽく躍りました。やはりキャストが変わったら、別の作品にしないと。
この曲自体、とても魅力的ですね。まさに「タップのためにあるような曲」だと思います。
その通りです。色々なタッパーがそれぞれの感性で躍ってますよね。
同じ曲でも、違う人が歌うと感じが違う様に、タップもそうです。
その人らしさが出ます。今回のは、特にTribute to tap mastersと言うサブタイトルもあるように、Jimmy、Henry、Buster、Lady D等への感謝と尊敬の念を込めてアレンジしました。ですから、後ろに彼らの愛情を感じながら躍ってました。
「後ろに彼等の愛情」
素敵な言葉ですね。タップ・サウンドや振付を越えた、目に見えないものが、実は私達の心に響いてくるのだと感じます。
そこで、感動したり、「うわー」という感情が沸いてくるのでしょうね。
「愛情」という言葉はタップにおいて重要なキーワードではないかと思っています。
今回友情出演されたロバート・リードさんのパフォーマンスに「愛情」を感じました。
それは、タップに対する無限の愛情、自分達の歴史、文化に対する誇りと愛情です。
Smilie はリハーサルやworkshopなどを含めて、まじかに接していっらっしゃいましたが、どのような感想を持たれましたか?
やはり心からTAP を愛し、リズムタップのダンサーである事に、誇りを持っていらっしゃると思いました。
ロバートさんは「こんにちは」「おはようございます」をタップ・サウンドで表現されました。とても軽やかで、タップが生活の一部になるようで親しみを覚えました。
そうですね。ダイアンも良くタップサウンドで語っていました。
アフリカではドラムは言葉ですから、そう言う流れを考えると納得です。
また日本のタップをとても応援されていらっしゃいますね。
司会をつとめられたミュージカル評論家の瀬川昌久先生のことを尊敬されていました。
「瀬川先生のタップというアート・フォームに対する情熱を感動した」ということをおっしゃられていたと覚えています。
タップを愛し、盛り上げるのは「アメリカの次は日本だ!」と、おっしゃっていました。
ロバート・リード氏
ロバートの祖父、マセオ・アンダーソンは伝説のダンスシーンを作ったFour StepBrothersのオリジナルメンバーで、ロバートはその祖父の庇護のもと成長する。
ロバートの足は楽器となり、美しい音楽を作り出す。彼の舞台はパワフルかつ軽やかでありacrobatic tap, soft shoe, tacit tap, cane twirling, comedy、そして歌も得意としている。
現在もダンサーとして活躍を続ける傍らセントルイス・タップダンス・フェスティバルを毎年主催しタップダンスと言う文化の保護と発展に力を注いでいる。
「NATIONAL TAP DAY 2001」パンフレットより)
日本で本場のリズム・タップを経験できる機会はそうめったにない。
ロバートさんが、軽快かつ卓越したリズム・タップを数曲披露された時には、会場は一瞬彼の虜になったようだった。身を乗り出すもの。その場で固まるもの。
このような貴重な舞台を作られた全ての方々、出演者及びスタッフの方々に、あらためてここで感謝の気持ちを表したい。そして、Smilieも是非、日本のタップを盛り上げる中心となって下さいネ!そして来年の舞台も期待しています!
レポート:4月22日(日)1pmの部
文+インタビュー:MY